博物館展示機 14-Bis (複製) TAM航空博物館.サンカルロス.サンパウロ州.ブラジル.2012 Aircraft exhibited at Museu TAM 14-Bis (replica) .Museu TAM.Sao Caelos.Sao Paulo.Brasil.2012 |
|
【凡例】※全て判明分のみ記載 |
14 Bis
14Bisは、アメリカのライト兄弟による初フライトの3年後、1906年にヨーロッパの地で最初に飛行した動力飛行機です。作成者はアルベルト・サントス・デュモン Alberto Santos-Dumont 。ブラジル、ミナスジェライス州の裕福なコーヒー農園主の末っ子として生まれました。下部の写真を撮影したTAM博物館から600kmほど離れた場所が生誕地です。父のアンリが仕事中に落馬、骨盤を骨折して農園経営ができなくなったため、家族で祖国フランスへ戻ってから本格的な航空研究を行いました。結果的にヨーロッパの航空研究の先駆けとなり、1901年には半硬式飛行船"Nr. 6"で制限時間内にエッフェル塔を周回し”ドゥーチ賞”を受賞するなど、飛行船の開発ではその中心となりました。
そして、1906年にこの14-Bisの飛行に成功したのです。ちなみに”14”は、はじめの試験飛行の際、飛行船No14の下部にこの機体を付けて飛行したことがその由来です。
彼はブラジルでは「飛行機の父」であり、祖国の偉大な人物として有名で、リオデジャネイロの空港は彼の名を冠したものにもなっていますし、2016年のリオオリンピック開会式にもこの14Bisが登場しました。ブラジル国内でもこの14Bisのレプリカやオブジェが多数作られ、街角に飾られています。ライト兄弟のフライヤー号の初飛行は1903年ですが、1904年、1905年に作られた機体は全て離陸時に離陸速度を補助するカタパルト式でしたが、この14Bisは普通の地面からの離発着が可能な機体でしたので、「これが最初の飛行機」と主張する人もいます。
いずれにせよ、この機体ができてからわずか100年の間に、航空機産業は大きく大きく発展しました。 サントス・デュモンは、飛行機が人々の役に立つ道具であることを誇りに思い、機体が完成すると特許を取るどころか設計図を公開した人でした。そして何よりも飛行機が戦争に使われることを嫌い、それを嘆いて晩年はフランスからブラジルに引っ越してきましたが、ブラジルでも飛行機が戦争に使われていたことを知り、非常に失望した、と伝えられています。
そんな彼の思いを感じながらこの機体を見ていると、様々な感傷に浸ってしまうのは自分だけでしょうか・・・。
乗員:1名
全長: 9.60 m (31 ft 10 in)
全幅: 11.46 m (36 ft 9 in)
全高: 3.75 m (11 ft 2 in)
翼面積: 52 m² (560 ft²)
離陸重量: 290 kg (661 lb)
エンジン: Antoinette 8V 8気筒 37 kW (50馬力)
最大速度: 40 km/h (25 mph/21 kts)
高度: 220 m (720 ft) demonstrated
Data from www.aviafrance.com