博物館展示機 |
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ロッキード L-049 コンステレーション
Lockheed L-049 Constellation
アメリカ合衆国の航空機メーカーであるロッキード社が開発したレシプロエンジン使用の4発大型プロペラ旅客機です。ロッキードの旅客機と言えばL-1011トライスターが一番有名だと思いますが、戦前にはこういったレシプロ機製造でもゆうめいでした。与圧構造を持ち、当時としては最先端の旅客機でした。エンジンは星型複列18気筒を持つ名器プラット・アンド・ホイットニー R3350型を4基。航続距離、巡航速度は世界最高性能を誇りました。第二次世界大戦前の1943年には初飛行。すぐに生産も開始しましたが、戦時中は軍用機の生産が中心で、本格的に生産が開始されたのは終戦後です。航続距離延長型、容積拡大型、出力増強型、そして軍用型と様々なタイプが生産されましたが、1943年から1958年までの間に合わせて856機が生産されました。ボーイング377やDC-7Cとともにレシプロ機の黄金時代の最後を飾る機体として有名です。
非常に流麗な美しい機体形状で人々を魅了した機体ですが、やはりマイナスな部分もあります。
そもそもこの機の開発を後押ししたトランス・ワールド航空のオーナー、ハワード・ヒューズの意向で、トランスワールド航空の格納庫に収納するために垂直尾翼を低くする必要があったため3枚の垂直尾翼になったのですが、結果的に重量と空気抵抗が増して航続距離短縮の一因となったと言われています。また、操縦装置に当時としては画期的な油圧式倍力の制御方式を採用しているのですが、まだまだ技術的に未熟なものがあり、メンテナンスが非常に困難だったと伝えられています。また、腰高の機体位置は貨物機として運用するには不便で、貨物転用も相対的に少なかったそうです。結果的にDCシリーズよりも早く引退をしていきました・・・。
と、いろいろな逸話がある機体ですが、レシプロエンジン機の黄金期を飾る機体であることは間違いなく、流れるような機体は今見ても素晴らしいデザインだと感じています。
なお、これを撮影したのは、ブラジル・サンパウロ州にあるTAM航空博物館です。大都会サンパウロから300kmほど離れた田舎に、どーーんとある巨大な博物館で、日本では見られない様々な機体が展示されています。また整備工場も隣接されていて飛行機好きの自分には天国のような場所でした。T非常に残念なことですが、2016年1月29日より閉鎖されています。現地のサイトを見ると、メンテナンス中とも書いてあるものもあるのですが、「財務状況が悪化したため閉鎖した」と書いてある記事もあります。非常に贅沢に、しかも丁寧に作ってあった博物館なので大変な費用がかかっているのは良くわかるのですが、このL-049をはじめとした数々の機体の行く末もすごく心配です