コンコルド Concorde

イギリスとフランスが、国の威信をかけて開発した超音速旅客機です。この機体こそ、語ると長くなるのですが、幾多の技術的困難、経済的困難を乗り越え、1969年に初飛行、1973年に路線就航した超音速旅客機(Super Sonic Transport)です。同時期に開発していた旧ソ連のツポレフTu-144に初飛行の栄誉こそ奪われますが、その後の商用運行まで考えると、ある程度成功した唯一の超音速旅客機です。高度55000〜60000フィートという通常の倍の高さをマッハ2.0で航行するこの機体は、いろいろな意味で、航空関係者はもちろん、ヨーロッパの人々の誇りでした。開発時は日本航空をはじめとして世界各社から発注があったのですが、開発の遅延と、開発費の高騰により結局、試作機4機、量産期16機を生産しただけで生産中止になってしまいました。そして2000年7月25日。パリのCDG空港で起こってしまった、AF4590便の離陸時の墜落事故はこの機種を引退させる機運を一気に高めてしまいました。原因は滑走路に落ちていたタイヤ片（コンチネンタル機？）が主翼下の燃料タンクを直撃し、引火、制御不能、墜落という結末をたどりました。ですから直接この機体の欠陥ではないと、筆者は理解していますが、翌年の同時多発テロによる航空不況もからんで、ついに2003年11月。営業運転終了、全機引退という結末を迎えてしまいました。
　それにしても”コンコルド”と聞くだけで、特別な思いを感じるのは自分だけではないはずです。子供の頃からこの機種は夢とあこがれの最先端機でした。絵本や図鑑の中で颯爽と離陸するコンコルドの美しい姿は今でも脳裏にしっかり残っています。そんな”夢”を 自分が直接見たのは大人になってから、ニューヨークのJFK空港においてでした。流れるような美しい主翼、大きな垂直尾翼、想像以上に小さい窓など、図鑑とおなじその姿に興奮してしまいました。できることなら一度乗って見たかったと強く思います。燃料を膨大に浪費するくせに144席しかなく、オールファーストクラス設定（しかもアメリカーロンドン・パリ線）のこの機体に乗るの時間的にも金銭的にもかなり大変なのですが、でもやはり乗ってみたかった・・・と今でも思います。
　下の一番上の写真は、2013年2月にロンドン・ヒースロー空港に立ち寄った際に撮影したものです。英国航空の整備地区の隅っこにちょこんと駐機していました。退役してからかなり時間が経つのにきれいに・大事に保管されている事が伺えます。