世界の旅客機図鑑

航空会社別写真集 高麗航空

高麗航空 Air Koryo(JS/KOR)

高麗航空は、北朝鮮 朝鮮民主主義人民共和国の航空会社で、フラッグキャリアかつ唯一の航空会社です。北朝鮮もこの航空会社も謎だらけですが、中国・ロシアとの間で定期便を持っています。北京便が週3本、瀋陽便が週2本、ウラジオストク便が週1本とのことです。ただし、時刻表にはそれだけ書いてあるのですが、勝手に運休していることが多く準定期便という感じとの話です。また安全性にとても問題があり、EUへの乗り入れ禁止を受けたり、世界で最も危険な航空会社リストにも常に上位に上がっています。機体は全て旧ソ連・ロシア製で、非常に老朽化しています。
 尚、北朝鮮は、機体登録の国籍ナンバー(レジストレーション)が「P」という1文字だけの国です。日本も戦前は「J」の1文字だけだったのですが、戦後2文字の「JA」に統一されてしまいました。ちなみに1文字の国と言えば、「N」はアメリカ、「G」はイギリス、「F」はフランス、「D」はドイツ、「B」は中国・・・などです。これを定めた当時の力関係と、その後の発展とのギャップを感じてしまいます。
下の写真は、北京でウランバートル行きのAIR CHINAの搭乗を待っていたら、偶然やってきたものを撮りました。IL-62を見かけるのは久しぶりでしたが、とにかくその騒音に驚き、そして30年はたっているであろうその機体に驚きました。ただ、降機してきた乗客を見ると、特に珍しいこともなく、そのギャップにまたいろいろ考えてしまいました。

【追記】アメリカや韓国と北朝鮮の直接会談に関わりこの機体について聞かれることも多くなったので追記します。(2018.5)

IL-62のページの再掲載

イリューシン IL-62 Ilyushin IL-62. Ил-62

旧ソビエト連邦のイリューシン設計局(Ilyushin Aviation Complex / Авиационный комплекс имени С. В. Ильюшина )が製造した4発エンジン機。旧ソ連機では唯一の長距離旅客機でした。ソ連機を西側諸国で分類していたNATOコードではClassic/クラシックと呼ばれている機体です。合計285機が生産され、ソビエト以外には75機が輸出されたそうです。1960年から開発が始まり、1963年に初飛行。その後、問題点の修正に手間取り、初の就役は1967年のモスクワ―モントリオール線だったようです。はじめ、エンジンはクズネツォフNK-8-4ターボファンを使っていましたが、すぐに燃費性能に優れたD-30KUに換装、そして客室延長、操縦席を近代化して国際民間航空機関 ICAO のカテゴリーII認証を受けたIL-62Mが登場します。IL-62Mの初飛行は1971年でしたが、さらに1978年には各所を改善したIL-62MKが登場しました。
もはや騒音規制で先進国の空港に着陸すらできないのですが、西側の機体を購入できない北朝鮮、キューバをはじめとした旧共産圏にとっては唯一の長距離旅客機で、未だに飛んでいるらしい・・との話です。旧ソ連機は頑丈で、部品整備さえきちんとすれば飛べなくはない気がするのですが、とにかく全てがものすごく旧式で、個人的には「現代の高速道路を牛車で走る」とまでは言いませんが「首都高をフォード・モデルT(1908年発売)で走る」というような感じです。
とにかく”全てが旧式”の機体で、この現代に見られるのが奇跡のような旅客機です。旧ソビエト政府が「モスクワ―キューバ間を飛べる飛行機を作れ」といって設計がスタートしたとのことです。その際、設計を簡単にするために、当時航空先進国だったイギリスのVC-10を模倣したらしい・・・という噂もありました。しかし、ここに時代の皮肉がありました・・・・。
VC-10というのはイギリスのビッカース社(のちにBAC社となる)がボーイング707やダグラスDC-8に対抗して開発した(当時としては)大型4発エンジン機で、後部に4基エンジンを設置することで主翼をクリア―にし、離着陸性能を向上させる・・・というコンセプトで設計された機体です。1964年4月に英国航空で就航しました。アイディアは良かったのですが、作ってみると、航続性能も、機体の容量も特筆して優れているわけでもなく、信頼性も経済性も上のアメリカ機の方がいい・・・と市場の評判が芳しくなく、結局54機で生産中止。輸出もほとんどできなかった(東アフリカでわずか使われたらしい)という機体です。ジェット機が出始めの時代と言えボーイング707が1010機、DC-8が556機生産されている事実から言えば、VC-10は失敗機ともいえるのですが、そのVC-10を模範にして設計された(といわれる)IL-62が未だに飛んでいるのを見ると、なんともいえない感慨を感じます。

[コラム]金正恩氏の専用機は 1985年または1988年製

金正恩国家主席とトランプ大統領の会見のためこの機体が注目されていますが、北朝鮮の航空会社  高麗航空 Air Koryo(JS/KOR) は4機のIL-62M(P-618(製造番号2546824 製造1985年 推定198席 最大離陸重量167000kg)、P-881(製造番号3647853 製造1986年6月 推定169席 最大離陸重量167000kg)、P-882(製造番号2850236 製造1988年1月 推定198席 最大離陸重量167000kg)、P-885(製造番号3933913 製造1979年6月 推定169席 最大離陸重量167000kg)を所有しています(by JP airlinefleets 2012)。
高麗航空 Air Koryo自体が空軍の管轄下にあり、資料が少ないのですが、主に平壌と北京を結ぶ国際線で使用されていますが、4機のうち2機は政府専用機で、製造番号「2546624/46-02」の P-618(またはP-883)、「2850236/50-03」の P-882 が使用されているようです。(以下にあげた自分が撮影した機体は、現在も一般旅客用にしているP-881です)。
ちなみに今回の首脳会談のような特別な運行の便名は「PRK??」になると予想されます。というのも2018年2月9日に平昌オリンピックにあわせ韓国に派遣した高位級代表団機は「PRK615」便という名称だったからです。PRKは朝鮮民主主義人民共和国 Democratic People's Republic of Korea の略、615は2000年に行われた第1回南北首脳会談が開かれた6月15日にちなんでいるらしい・・・とのことです。(2018.5)

 

高麗航空(北朝鮮:朝鮮民主主義人民共和国).ツポレフTu154B(P-552).名古屋空港(小牧空港)(愛知).1993.
Air Koryo(JS/KOR).D.P.R.of Korea.Tupolev154B(P-552).at
Nagoya Airport(NGO/RJNN)(Aichi).1993
高麗航空(北朝鮮:朝鮮民主主義人民共和国).イリューシンIL-62M(P-881)

高麗航空(北朝鮮:朝鮮民主主義人民共和国).イリューシンIL-62M(P-881).エンジン:4.SO.D-30KU.座席:F33Y136.製造:1986.167000kg.北京首都国際空港(中国).2005
Air Koryo(JS/KOR).D.P.R.of Korea.Ilyushin IL-62M(P-881).powered by 4.SO.D-30KU.config:F33Y136.mfd:1986.mtow:167000kg.at Beijing Capital International Airport(PEK/ZBAA).China.2005

高麗航空(北朝鮮:朝鮮民主主義人民共和国).イリューシンIL-62M(P-881)
【凡例】
航空会社名.(国籍).機種名.(登録記号).
エンジン(数、エンジンメーカー、形式)
座席( F:ファーストクラス.C:ビジネスクラスY:エコノミークラス)
前籍:その機体が以前に持っていた登録記号があれば記載
製造(工場出荷年),最大離陸重量.撮影場所(空港コード).撮影国.撮影年
【Description】
Name of airline.(Airline code
IATA/ICAO).Name of Country.Type of aircraft.(Registration)
powered by:number of engines.manufacturer.a exact type of engines
mtow:maximum take-off weight
config:a exact seating-configuration
preID:previous identity.previous registrations
mfd:month and year of manufacture
at *** airport
:airport name(IATA airport code(3-letter)/ICAO code(4-letter))

 

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